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紗智華ノンフィクション~トランスジェンダー(ニューハーフ)昼職物語編~

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皆さまハッピーThursdayでございます。

元々はOLをしていた紗智華凛と申します。

このニューハーフOL物語に関しましては、グッピーに入店し始めた頃にアメーバブログに載せたことがあります。

今回は、もっと詳しく、今だから言えることも含めて記事にしてみようと思います。

私が任せていただいていた業務。

当時、私は不動産会社に勤めていました。
もちろん、女性として。

アルバイトとして採用していただき、後に社員に昇進。

今と変わらず、威勢が良いだけでポンコツ、時々謎の力を発揮するやかましい女でした。
話し声はうるさいし。よく注意されておりました。

配達員さんがオフィスにいらっしゃって、荷物を受け取るために急いで走ったら、社長に「今ふざけたでしょ?」と笑って突っ込まれたこともありました。
走り方がおかしかったそうです。
私は至って真面目に走りましたが、自分の運動神経の無さを恥じた瞬間でした。

そんな私の業務は、「都内を駆け回り、マンションの撮影(駅周辺、外観、共用部、室内等)&撮った写真で記事を作る&電話対応や来客対応といった事務作業&SNSの更新」等。

負けず嫌いな私は、誰よりも綺麗に写真を撮り、誰よりも早くマンションを多く回ることを心掛けました。
気温が35度を上回る夏日も、手先や顔が凍りつきそうなほど寒い日も。

数時間で5つのマンションを渡り歩く、なんて事はザラ。

そして、オフィスに戻り次第昼食をとり、撮影した写真を用いてお客様に紹介するための記事を作成する。という毎日。

私はカップラーメンを食べることが多かったかな。
夏場は氷を入れたりして食べてました。
時々、成城石井で500円のお弁当を買ってみたりして。懐かしい。

オフィスには休憩もできるスペースがあり、そこにカップラーメンやお菓子やドリンクなどがお得に売られていたのです。

エナジードリンクはよく飲んでいました。スイッチを入れるために。

約8時間半の業務を終えたら、ほぼ満員の電車で帰路につく。

そんな毎日を過ごしているうちに、自分が進みたい方向とは逆の方向に進んでいるような感覚を覚えました。

コロナ禍でしたし、ただでさえ不安でいっぱいな毎日。

今思えば、大人になってから一番どうしようもなく悩んでいた時期かな、と思います。

トラウマ級の出来事。

唐突ですけど、私”お化け”がダメなんですね。

マンションの空室を年間で3〜400件以上は回っていると、時々、「おや」という物件に出会います。

基本はリノベーションされた綺麗なお部屋を撮影するのですが、ドアを開けた瞬間に誰かが住んでいたであろう生活感があるお部屋や、畳に謎のシミがあるような、ホラー映画に出てきそうな古びたお部屋に出会う機会も少なくなかったです。

「あ、絶対にこの部屋に何かいる」。というお部屋も。

震えて動悸がしながら撮影をしているので、恐怖を紛らわすために全室の窓を開けて撮影を進めていると、風圧でどこかのドアが「ガタンッッッ!!!」と閉まり、「ギャアアアアアアアアアア!!!」と叫んでみたり。
※閑静な住宅街で叫んでる私が一番怖い。

極め付けは、事故物件に行かなければいけなかった時ですね。「あ、私もう無理だ」と。

人には絶対に克服できないことがあり、無理をし続けると本当に心が病んでいきます。
もちろん、何とかなることもあります。
ただ、本当にどうにもならないこともあるのです。

全てに行き詰まった私の成れの果て。

OL業務を始めて1年が経った頃、私は時々歩くこともままならなくなるほど、心に負担がかかってしまいました。

恐怖と戦い、マンションを走り回る毎日。自分の撮る写真ばかりが綺麗になっても、出ない結果とやりがいの無さ。

自分の業務が誰かの役に立っているのか、自分が会社にとって有益な人材になれているのか。
目の前にお客様がいるわけでもないのに、ただ文章を書き続ける作業が私には向いていませんでした。
どうせなら、「あなたがいて良かった」と思っていただけるような仕事がしたかった。
仕事にやりがいを求めてはいけないと言うけど、大事よ。

ただ生きるために働き、満たされない承認欲求と物足りなさを感じながら過ごす毎日。

「そうだ、旅に出よう。」
※また何か言い出した。

私は一人旅に出ました。日帰りの。

この一人旅のおかげで、しばらくはお仕事を頑張ることができました。

大好きな海を眺め、自然に触れ、心が洗われて。

この時期のことを思い出すと、今でも心が苦しくなります。

誰かに助けを求めたくても、逃げ出したくても逃げられない。振り返ると、乗り越えてよかったと思いますけどね。

『女性として働く』という憧れがクリアされた後に待ち受けていたのは、終わりのない退屈。

もちろん向き不向きがあり、私が合わなかったというだけで、トランス女性でオフィスワークを楽しんでいる方もたくさんいらっしゃると思います。

その日々が”今に活きる”という必然

不動産時代にInstagramに載せる用に写真を加工したり、文章を書いてみたりという業務をしていた甲斐あって、その経験が予想もしなかった今に活きることになりました。

SNSやネット検索が重要になっている昨今。
私はグッピーという素晴らしい店舗を、より多くの方に知っていただくべく、Instagramや Googleの更新に取り組みました。

結果が出るよう願いながら。

オフィシャルサイトの更新も任せていただけるようになった今、不動産会社で培った経験が無駄にならなかったんだと不思議な力のようなものを感じています。

ネガティブなことも書きましたが、それはあくまで業務や個人的なことであり、当時大変お世話になった社長や、オフィスで同じ時間を過ごした皆さまのことは今でも大切に思いますし、心から感謝しております。

謝らなければいけない事は、トランスジェンダーのミスコンに出場し、世界を目指すと豪語したものの、中途挫折し、未だに挑戦できていない事です。(笑)

挑戦するかどうかもあやふやです。

でも私、幸せに過ごしていますよ。

不動産会社で過ごした日々が、当時は「一体何の役に立つんだ」と思いながら取り組んでいた業務も、全てが今に活きています。

特に、日本語力。
こちらに関しては社長からも直々に教えていただく機会が多かったです。

本当に感謝。

私は今でも、お化けは克服できていません

最後まで読んでくださり、誠にありがとうございます。

長ったらしく書き認めてしまいました。

それでは、皆さまの労働ライフにサチあれ。

サチハナ リンでした♪